コラム:ライエル  チャールズ・ライエル(1797-1875)

 当時一流の地質学者。ダーウィンは、ビーグル号へライエルの「地質学原理」を携えて搭乗、一様変化説”自然は飛躍しない”に大きく影響を受ける。一様変化説は、キュビエの天変地異説に対して、今見られる地形は、現在も起こっているわずかな変化の長時間にわたる繰り返しにより説明する。地質学から、聖書の干渉をぬぐい去った。後にダーウィンと親密な交流をもち、ウォーレスが自然選択説をダーウィン宛に送ったとき、先取権を争わないよう取り計らっている。

 ダーウィンの生物進化における一様変化説に影響を与えておきながら、ライエル自身は進化論をなかなか容認しなかった。彼はラマルクの進化説にも顔をそむけたが、人間の卓越性を信じ、育種による人為選択の結果生じた品種の変化と、自然の選択には、人間の干渉という溝があることを述べ、「種の起原」の主要部にも異論を示している。