更新記

 今西錦司の世界 によせて

    
 

 「この世界を構成しているすべてのものが、もとは一つのものから分化発展したものである。」

 今西錦司はこの世界観のもとに、生物の世界を語りつづけた。種というわれわれの身近にはいりこんでくる生き物達のありようと、その社会と歴史を問いつづけた。

 現在の評価はまちまちである。弟子筋にあたる人達も、いまでは大学の講義の場で、今西生物社会論を語る人はいないであろう。今西進化論が日本をおおっていたために、流行の社会生物学(ネオ・ダーウィニズム急進派)が日本に入ってくるのが10年遅れた、などという評言も見受けられる。

 しかし私には、このような言説をまく先生方よりも、今西錦司さんがほんとうの生物の世界を知っていたように思われる。そこで、今西錦司が残したもの、生物の世界、そして生命とは何かを知りたいと思い、学び、私なりの理解と表現で、このホームページをひらいてみたのである。

 それだけでは今西錦司は、日本の誇る真実の生物学者であったという、独り言に過ぎない。それでも、このページを開いた方が、もう一度今西錦司の著作を手にとって、この人が一生かけて言いたかったことは何だったのであろうかと考えながら読むようになれば、このホームページの開設は第一段階としては成功したのである。

  「今西錦司の世界」と銘打っておきながら、氏の愛した「山」について何も書くことがない。いきおい私の関心のむかうところしか探究できない。もし山の愛好家で、検索によってこのページにたどりついた方へは、お詫びとともに、寄稿などお待ち申しあげる次第である。99/7/1


 『生物の世界』への回帰(自然学の展開収録)の最後に、「生物たちをまえにすると、相すまなかったような気持ちがしないでもないらしい。生物たちよ、何億年という長いあいだ、よくぞ耐え抜いてきてくれたものだ、ありがとう、ありがとうというねぎらいの言葉をのこして、彼はこの世を去ってゆく。」という文章を残している。おそらく、心中涙を流しながら綴った言葉であろう。

 この優しさに感応して、私もこのホーム・ページをつくっているようなきがする。99/7/15 


 開設して、一月。まだあまり検索ページに登録されていないにも関わらず、訪問が100件をこえました。ありがとうございます。当初、2章までしか完成していなかったにも関わらず開設に踏み切りましたが、9章まで手を付けることができました。勉強することって本当に沢山あることがわかりました。

 「諸君!」(s53.5月号)に掲載された、今西錦司さんと竹内均さんの対談のなかで、今西氏の「二十一世紀の(科学の)パラダイムは、オカルトなんかを取り込んだようなものでなくてはならんやろうね。そして数世紀たった後に科学はまた復活してくる、というぐあいかもしれませんね。」とある。このホームページのスタンスも、「常識人」から見れば、かなりオカルト的なものに映ると思う。しかし、このような未来予測を今西氏自体がたてていることから、あながち氏の考えをゆがめていないという自負がある。心なき科学の時代に、唯物論機械論的生物学に一石を投じた今西氏の自然観を、私なりに問い続けてゆきたい。99/8/2


 「ぼくは、もう今、類人猿から人類の起源を探ろうという野心は捨てていますよ。」(サル学の現在)

 サルとヒトとのつながりを求めてきた学者の偽らざる正直な告白をここに見る。このような敗北宣言にもとれる言葉を長年その仕事に携わって、打ち明けられる人は少ないのではあるまいか。しかし、多くの人の一生は100年にも満たない。その短い物差しを持って、何億という地球の歴史をはかることは可能なのであろうか。自分の一生以上の時間のことを知り得ることは可能なのだろうか。私達は、進化を明るみにした以上のことを理解したのだろうか。

 もっと私達は、この星の生命をまえに謙虚な姿勢を見せる必要があるのではないか。99/8/20


 そろそろ、もう少しわかりやすく書き直したくなってきた。あらたな展開を構想中です。99/9/2


 「生物の世界」を5章を途中で切り上げたが、とりあえず6月に構想した10章のページのすべてを開設したことになる。まだまだ不本意で、理解の未熟から諦めた点も多いが、数々の書籍やこれを読む時間をいただいたこと、ネットを通じた励まし、多くの人のつながりが、一つのステージを与えてくれたことに、心から感謝したい。ありがとうございました。すこし、訂正を加えたら、また新たな構想へ乗り出してみたい。99/9/19 


 大学のサーバーとの手続きの関係で、しばらく更新の時間があきました。これから少しずつ更新してゆきます。99/11/7 


 書籍紹介を強化中。地味ながらページ量、情報量を増やしてゆきます。最近じっくりと生き物地球紀行のような番組を見る機会がふえた。生命の優しさに触れて感動することが多い。もちろん親鳥が雛をはぐくむ姿は心豊かにさせる。しかし、一見残酷に見える自然の掟すら、生命の永遠性のなかの一つの循環の姿。地球生命の愛と地球生命への愛の循環を感じさせる。悲しみを感じる私の胸に、優しさを残してくれた。99/12/1


 コラムと書籍紹介を更新。最近ラマルクを読み直している。非常に面白い。ラマルクの思想の評価はまだ、正当な光を浴びていない気がする。今西錦司もラマルクを評価しているが、思想的奥行きの深さは通ずるものがある。99/12/7


 「自然は目にみえる精神であり、精神は目に見えない自然でなければならない。」とは、シェリングである。ほぼこの言葉でこのホームページの内容を要約できようか。私も自分では知らなかったが、構想していたことはどうやら自然哲学に近いものらしい。現代生物学を批判するために、過去を持ち出すのではなく、未来へむけて私達の自然への態度、生き物への態度を考えたい。99/12/15 最深部


 新年、明けましておめでとうございます。自己中心的な文章を少しずつでも分かりやすく書き直している最中です。「正しいことを正しいこととして主張し、それを人びとに受け入れてもらうためには、やはりそれにふさわしい配慮というものが必要である。」「自分の考え方に間違いがあれば、志を継ぐ人はできない。しかし、間違いがなければ、必ず自分以上の人があと継ぎをやってくれるだろう。」松下幸之助氏の言葉より。2000/1/5


 主なページに、カウンターを設置。00/1/8


 今西錦司が考えていた生物全体社会の発展という生命観は、プロティノスやエマソンの「一者」の流出に近いものがあるのではないか。また、個体と種の関係、個体相互間の連携に、ユングの無意識を想定していたが、スウェーデンボルグやシュタイナーらの神秘学への道も無視できない。今西進化論は「主体性による進化論」であったが、いいかえるなら「精神の創造性」ということばとなる。ダーウィニズム批判は、主に自然選択批判に重点をおいていたが、なぜ自然選択がダーウィンの昔からドーキンスまで持ちこたえていたかといえば、ランダムな変異を教条としていたからだ。この温床は唯物論であって、ここが崩れればダーウィニズムは必要がなくなる。もと諸行無常がこの世の真理である。しかしヒトが来世で蝶となり、鯉が一代で竜になる思想のもとでは科学はおこらない。そのため、進化の前提として、固定的な種の概念が必要であった。これは西洋世界の産物であった。その前提のもと、種も長い時間の中で変化することをダーウィンらは示したかったに違いない。進化それ自体を疑う人はわずかとなり、その先志はほぼとげられた。のりこえるべき課題は方法論と、ダーウィニズムが時代に残した傷跡であろう。この課題をながめるために第二期の枠を設けた(まだ構想中)。

 分子生物学も、ボーアやシュレーディンガーら物理学者らが光を投下した後、ワトソン、クリックからメセルソン、スタールあたりまで美事な理念が輝いていたが、現在では博物学の呈である。その有用性は医学や農学分野である。枚挙あって理念なし。技術あって哲学なし。偶然という尊師様が、真実を求める精神を曇らせているのだ。希望の一つであるDNA配列から構造を探る道筋は、構造進化論の今後に期待したい。私は、もっと形而上学的な世界を旅してみたい。

 しかし、このページも、倒れた花を起こしたり、セミはなぜすぐ死んじゃうのとか尋ねたり、この宇宙の中で生かされていることを知っている、そのつぶらな瞳を持った子供たちが、その心を大切にしたまま生物学にあらたな灯を点し始めたならその使命を閉じる。すべてが生かされている。交感する精神が、生きもの達への暖かいまなざしを取り戻すときが来ることをいのりたい。00/1/18



 ただいまシェリング勉強中、環境の変化もあって、ちょっと更新停滞中です。でも、自然哲学学びたいです。00/4/24

 ほぼ二年近く経ちましてやっと、更新することが出来ました。まだ全然移し替えが終わらないため、以前よりも使いにくくなっておりますが、少しづつ手直ししてゆきますのでお待ちください。図などは書き直さなくてはなりません。27000件近くご利用になっていただきました。心より感謝致します。02/1/7
 表紙にフレームつけました・・が、使いづらいかな?


 久々更新、進化の力。しかしここ数年、勉強が進んでいないことが一目瞭然・・・。03/7/17


 第二期序章アップ。昔はいろいろ絵を描いて読みやすく工夫していたが、最近は文章だけですみません。しかし表紙のカウントが伸びない日はないので、全国のどなたかは訪ねていただいているのだと思います。心より感謝申し上げます。ありがとうございます。最近深夜にNHKでアッテンボロー氏が監修された動物番組を何日か見ていました。相変わらず私の中には、これらの動物の行動、形態が偶然と自然選択で出来たという考えに、熱く反発していることを感じながら・・・眠りにつきました。  03/7/30 


 リンクを増填中。ネットの世界では、批判的なものよりも、肯定的の意見が多いように思います。いくつか数学理論や新しい理論を考える方々がHPを持たれています。進化の真実の姿がいろいろな分野の方に語られる時代が楽しみですね。哲学的には「時間」、宇宙論的には「大宇宙構造論」、化学分野では「熱エネルギーとエントロピー」、情報理論でも「エントロピー」、あとは経済理論とか、生き物、野生動物と直接触れているような人など、いろいろな分野の知見を総合して進化のモデルを考えられる人が求められているように思います。03/8/15


 「ロビタと有機体」作成。ほとんど新しい内容を書き加えることが出来ませんでした。たくさん書いていたのは学生のときで、ここ数年社会人として働きながら本を読む時間を作るということが大変だといういいわけです。今西進化論へのイメージのヒントになれば、と思います。03/11/16 

 およそダーウィニズムは個人主義の極


 トップに、『スピリチュアル自然学概論』の広告をいれました。必死に更新のためのパスワードを思い出しました。 17/4/15


 Yahoo! ジオシティーズサービス終了を受けました。約19年間もの間、サイトを置かせていただきまして、本当にありがとうございます。心より感謝いたします。

 新たに「忍者ホームページ」に移行しつつあります。リンク外れなど多々あると思いますが、気づき次第対処したいと思います。長い間管理していませんでしたが、今後気づいたら、誤字などの微修正はしたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。18/10/13 

 

論であって、19世紀資本主義的思潮と相俟って流行した虚構に過ぎない。もし、人類が盲目的な利潤の追求から目覚めて、新しい経済原理に個人の幸福と全体の幸福の一体化を見出すならば、生物の世界はずっと以前からそのようであったことを発見するようになるだろう。人間が奉仕の心を取り戻したとき、生き物達の営みも生命という愛を循環させるしくみとして映ることであろう。また、この世界の構造を知り、生き物達に宿るたましいもあの世とこの世を循環するエネルギーとして見ることができれば、弱肉強食という闘争の世界の住人と思われていた生き物を、慈悲満つる憩いの世界へと誘うことができる。

 特に敬称は統一せずにタイプ打つ手のままに書き進めましたが、どの文体も今西先生を深く尊敬していることにかわりはありません。